脳を含む神経系について――
あらためて、
演算 × 配線 = 体験
の図式に立ち返って考えています。
11月27日の『道草日記』で述べた通り、
――演算
とは、
――神経細胞の個々の状態の推移
であり、
――配線
であるのですが――
では、
――体験
とは何か――
……
……
僕は――
11月8日の『道草日記』で、
――人の精神の活動は“感覚の体験”ないし“感覚の体験への反応の体験”の連続である。
と述べました。
この命題をいいかえると、
――“体験”は、人の精神の活動の最小単位である。
となります。
これらを踏まえ――
あらためて、
演算 × 配線 = 体験
の図式を顧みると――
次のことがいえます。
――“体験”は、人の精神の活動の最小単位であり、“演算 × 配線”は、ヒトの神経系の機能の最小単位である。
演算 × 配線 = 体験
の図式は――
その左辺がヒトの神経系の生理に言及をしていて、その右辺が人の精神の心理に言及をしていることに留意を要します。
11月8日の『道草日記』で述べたように――少なくとも、暗示はしたように、
演算 × 配線 = 体験
の図式は――
本来、ヒトの神経系の機能にみられる、
――心理と生理との分断
を際立たせる工夫でした。
この図式で強調をされているのは――
実は、
――心理と生理との分断
のほうでして――
この“分断”を性急に繕おうとする姿勢の危うさを示しているのが、
演算 × 配線 = 体験
の図式なのですね。
僕らは今――
そこまで性急になる必要はありません。
いいかえるならば――
演算 × 配線 = 体験
の図式よりも――
実は、
ヒトの神経系の機能の最小単位 = 演算 × 配線
や、
人の精神の活動の最小単位 = 体験
の図式のほうが――
案外、含蓄は多いとみなすのがよいのではないか――
そんな気がしています。