脳を含む神経系について、
機能 = 演算
ないし、
機能 = 体験
の図式を受け入れるには、
演算 = 体験
の図式を示すことが必要である――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
この、
演算 = 体験
の図式を示すには――
新たな知見か新たな洞察かのいずれかが必要である、ということも――
きのうの『道草日記』で述べました。
もちろん――
新たな知見を求めるのが最も強力な解決法です。
が――
それには、新たな実験や観察の企画および実行が必要であり――
そう簡単ではありません。
よって――
ひとまず、新たな洞察を――あるいは、必ずしも「新たな」とはいえないものの、まずまず有効そうな洞察の候補を――求めるのがよいでしょう。
……
……
おそらく、
演算 = 体験
の図式を示すのに必要で、かつ最も単純な発想は――
以下の通りです。
――脳を含む神経系の演算の進行と、その進行の前後で生じる演算の結果の差異の記録とを基盤とするのが精神の活動であり、その活動は“感覚の体験”と“感覚の体験への反応の体験”とから成る。
……
……
どういうことか――
例えば――
今、ある時刻 t における演算の結果を、
結果(t)
で表すとします。
このときに――
演算の進行は、
結果(0)
→ 結果(1)
→ 結果(2)
:
→ 結果(t)
:
と表されます。
このときに、
――感覚の体験
や、
――感覚の体験への反応の体験
というのは、
結果(t)
→ 結果(t +1)
によってもたらされる、
――結果(t)と結果(t +1)との差異
の記録である――
ということです。
このときに、
演算 + 記録 = 体験
の図式を得ます。
つまり――
脳を含む神経系について、
機能 = 演算 + 記録
= 体験
となるのです。