マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

知っていた。けど、よくわかっていなかった

 ――メンデル(Mendel)の法則

 を僕が知ったのは――

 高校1年の頃でした。

 

 それまでは「メンデルの法則」の「メ」の字も知りませんでした。

 

 ――メンデルの法則

 を知った後も――

 それによって示されている内容に心が動かされることは殆どなく――

 

 この30年以上の間――

 ただ、

(遺伝学の原点だよね)

 と思ってきただけでした。

 

 ……

 

 ……

 

 実は――

 今でも、

(“メンデルの法則”については「遺伝学の原点」という以上の意義は見出せない)

 と思っています。

 

 例えば――

 物理学の領域におけるアルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)の特殊相対性理論のような輝きはないし――

 同じ生物学の領域におけるルイ・パスツール(Louis Pasteur)の自然発生説の否定のような鮮やかさもありません。

 

 では、

 ――メンデルの法則

 には何があるのか、というと――

 

 おそらく――

 それは、

 ――意外性

 です。

 

 ――え?

 と、人々を戸惑わせてしまうような“意外性”です。

 

 この“意外性”は――

 実に、ささやかなのです。

 

 多くの人に気づかれず、見過ごされてしまいます。

 

 ――それって当たり前のことだよね。

 と、つい思わせてしまう――

 

 もちろん――

 自然科学上の全ての新発見は――

 今となっては、

 ――当たり前

 になってしまっていて――

 でも――

 その当時としては、まったく当たり前ではなくて――

 傑出をした能力と繊細な感性と信じがたい僥倖とが重なって、たまたま、もたらされたものなのですが――

 

 とくに、

 ――メンデルの法則

 については――

 そうした“能力”や“感性”や“僥倖”が見落とされやすい、と――

 僕は感じます。

 

 この法則に関心を持ち始め、様々な角度で調べ、広く深く考えていって初めて、

 ――え?

 と思えるのですね。

 

(僕は“メンデルの法則”は知っていた。けど、よくわかっていなかった)

 と、僕が悟ったのは――

 ほんの数年前のことです。