そんなに風変りな入学試験を行わなくても――例えば、旧来の“多肢選択式”や“空欄補充式”、“文章論述式”の入学試験であっても――入学試験の行い方に工夫を施せば、
――教わり育とう!
と思い始めているか否かのみきわめは可能である――
ということを、きのうの『道草日記』で述べました。
どんな入学試験にすればよいのか――
……
……
志願者が試験の最中に、何かを教わり、育つことができるような入学試験にすればよいのです。
例えば、試験範囲を越えた出題を必ず行うようにする――
大学の入学試験を例にとって説明をしましょう。
大学の入学試験では、高校課程で扱わない内容は出題をしてはいけないことになっています。
おそらく、受験対策にキリがなくなることを防ぐのが目的でしょう。
が――
この規制のせいで、志願者は試験の最中に何か新しい知識や理解を得るということは、ほとんど期待できません。
高校までで見聞きした範囲の知識や理解の再確認が行えるだけです。
これでは、志願者が、
――教わり育とう!
と思っていようが、思っていまいが――
その違いは、試験の成績には、なかなか反映をされないでしょう。
そこで――
高校課程の枠を取り払ってしまう――つまり、志願者が今までに見聞きしたことがないような題材で、すべての問題を作るのです。
実は――
そのような問題を作るのは――
少なくとも大学においては――
そんなに難しいことではありません。
その大学で行われている学術研究から題材を拾って問題を作ればよいからです。
実際に――
名門とされる国公立大学の個別の入学試験では――
そのような問題が割と好んで作られる傾向にあります。
もちろん――
まだ志願者が得ていないであろう知識や理解は、すべて問題の文に記載をしておきます――つまり、志願者が問題の文から教われるようにしておくのです。
その意味で――
出題者は、これまで通り、高校課程で扱われる内容には精通をしておく必要があります。
それは、高校課程を経てきた志願者に入学試験を課す以上は、当然のことです。
とはいえ――
問題の題材それ自体は、決して高校課程で扱われる内容には縛られない――
そのような問題ばかりを集めることで、
――教わり育とう!
の思いをが強い志願者ほど有利となる入学試験に仕立てることができるのです。