マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

どちらの人々も、つらく、苦しく、そして、何よりも、悔しいであろう

 ロシア軍によるウクライナへの侵攻が続いているようですね。

 

 報道によれば――

 現地は、首都キエフを筆頭に、酷い有り様です。

 

 ――激しい戦闘が続いている。

 などと表現をされますが――

 実際に起こっていることは、

 ――殺し合い

 です。

 

 つい1週間前までは――

 石畳が映える美しい街並みの中で日々の穏やかな生活を楽しんでいる人々の映像が、報道機関によって伝えられていました。

 

 本当に――

 暗澹とした気持ちになります。

 

 ……

 

 ……

 

 今、

 ――ロシア軍によるウクライナへの侵攻

 と述べましたが――

 正確には、

 ――ロシア政府の首脳部によるウクライナへの侵攻

 です。

 

 少なくとも――

 決して、

 ――ロシアによるウクライナへの侵攻

 とは述べないほうがよいでしょう。

 

 こうした情勢に限った話ではありませんが――

 とりわけ、こういう情勢では、

 ――ロシアの人々

 と、

 ――ロシア政府の首脳部

 とを明確に分けて考える必要があります。

 

 もちろん――

 ロシアの人々が民主主義的な手続きを踏んで政権を選んでいるはずですが――

 それでも――

 政権を選んだ人々と政権の運営者たちとは、あくまでも別個の人格であるのですから――

 それら人々を不用意にまとめてしまうのは、できる限り、避けた方がよいでしょう。

 

 そうした観点に立つと、

 ――ロシア軍

 という呼称は、まことに扱いづらい――

 

 といいますのは――

 

 ――ロシア軍

 の構成員の大部分は、ロシアの善良な人々でしょう。

 

 たしかに、上層部の一握りは、

 ――ロシア政府の首脳部

 の一角を成しているのかもしれません。

 

 が――

 それら高級将校たちも、軍人として職責を果たす上で、政府の首脳部の命令には無条件で従うことが義務付けられているでしょう。

 

 ウクライナへの侵攻を決めたのは、あくまでもロシア政府の首脳部であって、ロシア軍――少なくとも現場の兵員の一人ひとり――ではありえないのです。

 

 ……

 

 ……

 

 こうしている今も――

 現地では、ウクライナの人々とロシアの人々とが殺し合いを強いられています。

 

 どちらの人々も、つらく、苦しく、そして、何よりも、悔しいでしょうね。

 

 そうした原始的で本能的な感情を抑え込んで――

 いわゆるプロ意識をもって、職務として――

 その殺し合いに携わっているに違いないのです。