マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

その最高指導者を仰ぎみて縮こまっていない人など、いるか

 ――「現在のロシア政府の最高指導者には正しい情報が届けられていない」などということはありえない。現在のロシア政府の最高指導者は全ての判断を正しい情報に基づいて下している。

 という主張を見聞きします。

 

 この主張をうっかり受け入れてしまう人は、

 ――人

 というものをよくわかっていないのではないか、と――

 僕は感じます。

 

 あるいは、

 ――対人関係

 というものを、よくわかっていない――

 

 ……

 

 ……

 

 そもそも、

 ――人

 は、原理的には、

 ――何が正しい情報か。

 を厳密には明らかにできません。

 

 現在のロシア政府の最高指導者に限らず――

 人が接する情報には、必ず正しい部分と正しくない部分とが混在をしていて――

 どれくらい正しいか、どれくらい正しくないかを、最終的には主観で評しています。

 

 よって、

 ――現在のロシア政府の最高指導者には正しい情報が届けられていない。

 という命題は、少なくとも原理的には、否定のしようがないのです。

 

 この命題は、現実的には、

 ――現在のロシア政府の最高指導者には正しい部分が多く含まれている情報が届けられていない。

 と書き直す必要があります。

 

 要するに――

 重要なのは、「正しい情報か、正しくない情報か」ではなく、

 ――情報に含まれている正しい部分と正しくない部分との比率がどれくらいか。

 なのです。

 

 現在のロシア政府の最高指導者には――

 正しい部分の比率の少ない情報が届けられている――

 と、僕は感じています。

 

 この“正しい部分の比率”というのは、対人関係の対等性および親密性で決まってきます。

 

 ある人がある人に情報を与えるときに――

 情報を与える人が、情報を受けとる人に対し、どれくらい同じ目線でいられるか、および、どれくらい寄り添っていられるかで、“正しい部分の比率”は、いくらでも乱高下をするのです。

 

 情報を与える人が情報を受けとる人を常に仰ぎみて縮こまっていれば――

 情報の“正しい部分の比率”は、ひたすらに下がり続けます。

 

 現在のロシア政府の首脳部で――

 その最高指導者を常に仰ぎみて縮こまっていない人など、はたして、いるでしょうか――

 

 ……

 

 ……

 

(ほとんどいない)

 と、僕は考えます。

 

 理由は2つ――

 

 1つは、

 ――現在のロシア政府の最高指導者は、その地位に20年くらい居つづけていて、今後も居つづけそうである。

 ということ――

 

 もう1つは、

 ――現在のロシア政府の最高指導者は人であり、その周辺にいる人たちも、皆、人である。

 ということ――

 

 同じ人なので――

 例えば、現在のロシア政府の首脳部で起こっていることと現在の日本の様々な組織で起こっていることとの間に、基本的な違いは生じえない――

 と考えることができます。

 

 少なくとも日本では――

 最高指導者の地位に10年以上、居つづけて――

 周辺にいる人たちと信頼関係を築き、保ちえている人というのは、稀有です。

 

 たまに、最高指導者・当人は、「信頼関係を築き、保っている」と思い込んでいることがありますが――

 その周辺にいる人たちにいわせたら、「信頼関係は、とっくの昔に壊れている」というような状況は、まったく珍しくありません。