東京の江戸城の史跡を巡るテレビ番組を先日、何気なく、みていたら――
ふとロシア政府によるウクライナ戦争のことを思い浮かべました。
江戸城は、15世紀(室町期後半)の武将・太田道灌によって築かれ――
17世紀(織豊期終盤)に入って、徳川幕府の初代将軍・徳川家康および、その子である二代将軍・徳川秀忠により、大規模な拡張が始められました。
それより少し前――
16世紀(織豊期中盤)には、
――天下一の名城
当時の日本列島における最大かつ最強の要塞として、世に広く知られていたのですが――
その大坂城を遥かに凌ぐ規模・機能で築き上げられたのが、江戸城でした。
19世紀(江戸期終盤)に徳川幕府が滅んだ後も、皇居として、21世紀の現在に至るまで――
江戸城は十全に活用をされています。
この城は――
当時の築城の思想・技術を今日に伝えうる有力な史跡として、これ以上はないくらいに知的好奇心を呼び覚ますのですが――
そうした築城の思想・技術というのは、あらゆる戦禍が丹念に想定をされた上で、さまざまに練り上げられ、体を成してきたものですから――
そのような思想や技術に思いを馳せていれば、当然ながら、
(もし、東京に外国の軍隊が攻め込んできたら、自衛隊は皇居を拠点に守りを固めるんだろうか)
などということを考えるようになります。
ロシア政府によるウクライナ戦争が勃発をする前であれば、
――なんと荒唐無稽な空想か。
と嘲笑をされたかもしれませんが――
勃発をした今となっては残念ながら――
さほど荒唐無稽とはいえません。
ロシア政府によるウクライナ戦争は――
冷戦終結後の国際秩序をほぼ完全に、
――過去の遺物
にしてしまったと指摘をされています。
この 2 か月ほどの間に――
僕らの時代は、主権国家が他の主権国家に対して武力で威嚇をしたり、実際に侵攻をしたりする、ということが当たり前であった時代に――20世紀以前の時代に――逆戻りをしつつあるのです。
もし――
この逆戻りをこのまま差し止められなければ――
僕らは、東京に外国の軍隊が攻め込んでくる可能性を、そう簡単には笑い飛ばせなくなります。