マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

防がないといけない惨劇だった

 安倍晋三さんがお亡くなりになりました。

 

 きのうの昼前、参議院選挙の街頭演説の最中に――

 背後から至近距離で銃撃を受け、命を落とされました。

 

 ご本人を含め――

 このような惨劇を事前に少しでも思い描けていた人は――

 皆無であったろうと思います。

 

 内閣総理大臣あるいは内閣総理大臣・経験者が殺害をされるのは――

 第二次世界大戦後では初めてのことです。

 

 ――戦後の日本で、こんなことが起こるとは!

 と日本中が一様に驚愕をしているように思います。

 

 なぜ、こんなにことなってしまったのか――

 

 ……

 

 ……

 

 犯人は既に逮捕をされているそうですから――

 今後、少しずつ背景が明らかになっていくでしょう。

 

 個人的な犯行なのか――

 個人的とみせかけ、実は組織的な犯行なのか――

 

 あるいは――

 もし、組織的な犯行なら――

 どんな組織が、どんな思惑で凶行に及んだのか――

 

 もし、個人的な犯行なら――

 こんな凶行に、なぜ一人で及んだのか――及べたのか――

 

 ……

 

 ……

 

 いずれにせよ――

 今回の凶行が、今後の国内情勢・国際情勢に、何か決定的な影響を及ぼすことはない、と――

 僕は考えています。

 

 19世紀イギリスの政治家ベンジャミン・ディズレーリ(Benjamin Disraeli)が喝破をしたように、

 ――暗殺が世界の歴史を変えたことは決してなかった。

 ――Assassination has never changed the history of the world.

 なのです。

 

 一人の政治家の横死が政治的な情勢を決定的に変えることはありません。

 

 そのことを断った上で――

 あえて述べます。

 

 今回の惨劇により――

 この国は大きな損失を被りました。

 

 損失の核心は――

 安倍晋三さんが7年8カ月の総理在任期間中に、世界各国の最高指導者たちと個人的に築き上げてきた人脈です。

 

 主要7か国の最高指導者は、もちろんのこと――

 あのロシア政府の最高指導者とも差しで本音の対話ができそうな数少ない政治家の一人でした。

 

 今後、ウクライナの戦況が重大な局面を迎える際に――

 その個人的な人脈を活かし、日本の国益を背負って――例えば、日本国政府特使として――重大な役割を果たされうる可能性があったはずです。

 

 さらにいえば――

 今回のロシア政府によるウクライナ戦争が、少しでも将来の禍根が小さくなるような方向で、終結を図られる際に――

 その一翼を担われる可能性さえもありました。

 

 これら可能性の全てが一瞬で消え去ってしまいました。

 

 その損失は――

 日本の国民に限らず、ロシア政府によるウクライナ戦争の終結を望む全ての人たちにとって、無視のできない痛手です。

 

(防がないといけない惨劇だった)

 と感じます。