マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

大人になって、よかったなぁ

 (大人になって、よかったなぁ)

 と思っています。

 

 このように、のべると、

 ――何才からが大人なの?

 と、きかれそうですが――

 

 実は、

 ――何才までが子どもで、何才からが大人なのか。

 というのは――

 そんなに簡単(かんたん)には答えられない大問題なのです。

 

 ぼくは、今年で 50 才になります。

 

 ぼくの感じでは、

 ――体は 20 才くらいまでに大人になり、心は 30 才くらいまでに大人になる。

 と考える人が多いようです。

 

 そのわけは――

 人は、だいたい――

 20 才くらいから、20 才以上の人たちと同じように体を動かせるようになり――

 30 才くらいから、30 才以上の人たちと同じように心を働かせるようになる――

 と思えるからです。

 

 ただし――

 例外は、いくらでもあります。

 

 18 才で心も体も大人になっている人はいますし――

 48 才になっても、体はともかく、心は子どものままの人もいます。 

 

 とはいえ――

 例外の一つひとつをとりあげていたら、きりがなくなりますので――

 

 ここでは――

 ひとまず、

 ―― 20 才以上で体が大人、30 才以上で心が大人――

 と、みなしましょう。

 

 ぼくは、今年で 50 才ですから――

 体が大人になって 30 年くらい、心が大人になって 20 年くらい経(た)つことになります。

 

 ぼくは、10 才のころは、体を動かすことが好きではなくて、とくに体のことに関心もありませんでした。

 

 ですから――

 20 才くらいになって、20 才以上の人たちと同じように体が動かせるようになっても――

 とくに大人になった感じはしませんでした。

 

 が――

 ちょうど、そのころに――

 ぼくは、心のことに強い関心をもつようになって、30 才以上の人たちと同じように心を働かせて、ものを考えたり、考えたことを言葉で表したりしてみたいと、強く思うようになったので――

 30 才くらいになって、30 才以上の人たちと同じように心を働かせられるようになると、

 (ああ、ぼくも大人になってきたなぁ)

 と感じるようになりました。

 

 そのときに、

 (今まで生きてこられて、本当によかったなぁ)

 と心の底から思えたのですね。

 

 それからというもの――

 ぼくは毎日、

(大人になって、よかったなぁ)

 と思っています。

 

 30 才から、きょうまでの 20 年くらいの間に、

 ――大人になんか、ならなきゃよかった。

 と思った日は、一日たりともありません。