――足し算ではなく、掛(か)け算から始まっている算数・数学
というのが、もし、あるとすれば――
それは――
例えば、
1、2、4、8、16、……
という整数の在(あ)り方に気づかれることによって始まる算数・数学である――
と、きのう、のべました。
そして――
そのようにして始まる算数・数学では、
2 = 1 + 1
3 = 2 + 1
4 = 3 + 1
5 = 4 + 1
:
:
という足し算の代わりに、
2 = 1 × 2
4 = 2 × 2
8 = 4 × 2
16 = 8 × 2
:
:
という掛け算が――
無意識(むいしき)に行われているはずである――
とも、のべました。
……
……
いま、
――掛け算から始まっている算数・数学
というのは――
例えば、
1、2、4、8、16、……
という整数の在り方に気づかれることによって始まる算数・数学である――
といいましたが――
実は――
そのような算数・数学のことをのべるには――
そもそも、
1、2、4、8、16、……
という数字――ぼくらが小学生のころから馴(な)れ親しんできた数字――を使うことが、できません。
なぜかというと――
1、2、4、8、16、……
という数字は――
当然のことながら、
1、2、3、4、5、……
という整数の在り方に基(もと)づいて決められている数字であって――
それら、
1、2、3、4、5、……
という整数の在り方は、あくまでも、
――足し算から始まっている算数・数学
のなかで気づかれた在り方であるからです。
つまり、
――掛け算から始まっている算数・数学
のことをのべようと思ったら――
そもそも、
1、2、3、4、5、……
という数字――ぼくらが小学生のころから馴れ親しんできた数字――ではなくて――
それらに代わる数字――まったく新しい何か他の数字――を使わなければならないのです。
『10歳の頃の貴方へ――』