回転寿司屋に入ったら――
けたたましい英語の会話が聞こえてきた。議論が白熱しているようである。
みると、カウンター席に5人ほどが陣取っていた。
5人のうち1人は日本人――他は白人系の顔立をしていた。
英語は流暢ではない。訛りも酷い。
4人の白人系は、いずれも英語を母語とはせぬようである。
だから、許せた。
アメリカ人が同じことをしていたら、無性に腹が立っていた。
楽しそうだった。
皆、英語が巧くはない。
それだけに議論が白熱する。
たぶん5人は、英語という道具を用いて意思疎通を成せる喜びというものを、感じていたはずである。
もし、あの5人の中に1人でもアメリカ人がいたならば――英語を母語とする者がいたならば――
議論は、あそこまで白熱することはなかっただろう。
――英語を母語とする者がいなければ、世の中、どんなに平和になることか。
そう夢想したくなる。