仙台圏ではテレビ東京系列が受信できぬ。
にもかかわらず――
時々、新聞の広告欄に、テレビ東京系列の番組宣伝が載ったりする。
それで目にしたのだったか――
はたまた――
東京に顔を出したときに、駅の広告か何かで、みかけたのだったか――
*
テレビ東京系列の連続時代劇に『逃亡者おりん』というのがある。
10月から、毎週金曜日の夜に、放映されているらしい。
徳川幕府9代将軍・家重の時代――
若い女暗殺者が組織を抜け出し、敵と闘いながら、逃げていく物語――とのことだ。
仙台では、みることもできぬ時代劇を――
なぜ、わざわざ取り上げるのか。
番組宣伝の広告が気に入ったからである。
未見の方で、気になる方は、ネット検索をお勧めする。
今なら、「逃亡者おりん」と打てば、公式サイトに容易にヒットする。
僕がみた広告は――
主演女優が、暗闇の中で、小刀を片手に、中腰で身構えている写真であった。
時代劇なのに、どうみてもレオタードにしかみえぬ衣装が、アッパレである。
――少なくとも江戸時代には、こういう衣装の暗殺者は、いなかったろうな。
と思わせる写真である。
主演女優の青山倫子さんは、モデルの御出身だそうなので――
制作サイドは、青山さんの体の曲線美で勝負をしたかったのだろう。
狙いは奏効している。
何が一番アッパレかといえば――
――時代劇の衣装は、それらしく――
との常識に、とらわれなかったことだ。
当然の処置ともいえる。
だって、若い女暗殺者を主人公にするのだから――
こういう衣装をみて怒る人がいる。
――時代考証がなっていない!
とかいう人だ。
――そういう人は、みないで下さい!
というのが、広告の真意である。
ヒロインのレオタード姿をみせられれば、そういう人は退散するべきなのだ。
制作サイドは、この衣装に象徴されるドラマを目指しているのであって、それらしい時代劇を目指しているのではない。
ただし――
実際に放映されているドラマを、僕はみていない。
はたして、本当に、この衣装に象徴されるようなドラマになっているのか。
――女の冷えた色気に、時代劇の陰りを織り込んだ荒唐無稽の伝奇ドラマ――
だと、僕は了解したのだが――