一般に――
性は男女の2つしかないとみなされているが――
実際には、4つあると思っている。
男が描く男と――
女が描く男と――
男が描く女と――
女が描く女と――
この4つである。
もちろん――
物語の中での性の話だ。
男が描く男と女が描く男と、いったい何が違うのか――
どちらも男であることに変わりはないではないか――
そういう向きも、あることだろう。
が――
これが、ずいぶんと違うのである。
もしかしたら、男と女との違い以上に、違うかもしれぬ。
いわゆる「やおい」系の物語を引き合いに出すまでもなく――
女が描く男は、男が描く男とは、かけはなれているものである。
その違いを、僕は男だから、生々しく感じとれるのだが――
同じことは、男が描く女と女が描く女とについても、いえるに違いない。
――性が4つに分裂しているなんて、けしからん!
などと叱責したいのではない。
――物語の紡ぎ手が現実の性を知らぬのは、嘆かわしい!
などと糾弾したいのでもない。
こと物語に関する限り、性は4つある――
まずは、そこから認めようではないか、という提言だ。
女が描く男をつかまえて、
――あんな男は、男じゃない!
と否定することは容易である。
また、男が描く女をつかまえて、
――あんな女は、女じゃない!
と否定することも容易だろう。
僕がいいたいことは、
――そうした否定は何も生みはせぬ。
ということだ。