去年の年の暮れまでは――
そんなに酷い暖冬にはなりそうもないと思っていたが――
昨日は、春のような暖かさだった。
――やっぱり暖冬だな。
と思った。
が――
今朝は寒さで目が覚めた。
気が付くと、毛布が一枚、ベッドから落ちている。
寒さで目が覚めるというのは、なかなかのものだ。
こういう体験をすると、
――やっぱり暖冬じゃないかも――
などと思う。
そう思うと、少し安心だ。
でも――
まあ、やっぱり暖冬だろう。
去年、海外からやってきて、今年、初めて仙台の冬を体感している人は、
――暖かい冬のどこがいけないのか?
と疑問に思うらしい。
暖かいぶんには結構じゃないか、というわけだ。
暖冬の気持ち悪さを、それを理解できない人に説明するのは、かなり難しい。
とりあえず、
――何かイヤなことが起こりそうな気がするから。
と答えておいたが――
たぶん、
――そんなの迷信だ。
と思われたに違いない。
たしかに、迷信だ。
虚構である。
が、迷信に惑う人間の心は現実だ。
自然に惑ってしまう。
その惑いの起源は何かといえば――
やはり、人間の心である。
先達たちの心が惑っているから――
自分の心も惑ってしまう。