2、3年前の僕は、
(どうして少女のネクタイ姿に色気を感じるんだろう?)
ということばかり考えていた。
最近では、
(どうして少年のネクタイ姿はツマラナいんだろう?)
ということばかり考えている。
これまでの『道草日記』でも、何度か書いているが――
僕は、少女のネクタイ姿を、かなり気に入っている。
ちょっと好みの女の子がネクタイを締めているだけで、時間を忘れそうになる。
分析はしない。
なぜ少女のネクタイ姿が気になるのかは色々と分析をできるのだが――
今の僕には興味がない。
それよりも不思議なのは、
――なぜ少年のネクタイ姿がダメなのか。
である。
もちろん――
こちらだって、とくに分析をしたいとは思わないのだが――
どうにも解せないのである。
奇異だ。
なぜダメなのか。
――ツマラナい。
を通り越し、
――カッコわるい。
の域である。
ネクタイ姿の少年が、むしろ気の毒に思えてくる。
彼らの多くは、10年後には、毎日、当たり前のようにネクタイを締めているはずだ。
それなのに――
なぜ、今だと、カッコわるいのか。
10年後には当たり前になるものなのに――
あ、そうか。
10年後に当たり前になるものだからこそ――
カッコわるいのかもしれない。
(今から、そんなカッコして、どうすんだよ)
というわけだ。
(10年後には、くさるほどできるカッコだぜ)
と――
その点、学ランは安心だ。
詰め襟は、軍人にでもならない限り、10年後に当たり前になっている可能性はない。
10年後の当たり前の日常を喚起したりはしない。
*
以上は、30代の男からみて、いえることである。
女性の視点では、違ってくるのだろう。