毎年のことながら――
年度の変わり目では、気分が落ち着かない。
新しいことが始まるからだ。
「新しいこと」というのは――
たいていは「新しい人たちの付き合い」である。
人は、人に慣れることが、最も難しいようだ。
幾つになっても、未知の人との出会いには、多少なりとも緊張を強いられる。
――いったい、どんな人なんだろう?
――自分が合わせられる人だろうか?
――気まずい思いをしないで済む人だろうか?
――いつまでも仲良く付き合っていける人だろうか?
考えてみれば――
人生の不安の大部分は、実は、この手の不安なのではないか。
つまり――
「新しい人たちの付き合い」への不安である。
50代、60代でも、そうであるらしいから――
70代、80代でも、きっと、そうであろう。
人は、人付き合いのことで、永久に悩むらしい。
このことを、僕は否定的にはとらえない。
人は、人に慣れることに、最もエネルギーを注げばよい、と考えている。
人に慣れることを楽しむ――
それが、最も健全な人生の楽しみ方ではあるまいか。
そのような命題がヒトの理知に刻み込まれているかもしれない――
などと思ったりもする。