人の心は移ろいやすい。
それを、今さらのように嘆くこともないけれど――
何とかならないものかと――
日常の雑事に紛れて、ふと考え込むことがある。
他人の心のことをいっているのではない。
自分の心のことをいっている。
*
時々――
自分の目標がみえなくなる。
たしかに、かつて目標に据えたものが――
今は、時々かすんでしまって――
僕の視野から消え失せてしまう。
本当は――
消え失せてしまうのではない。
自分の心が迷走し、志向の角度がぶれているから――
それにつられて、視野も迷走しているように、みえるだけである。
目標が消えるということは――
心の志向性がズレる、ということだ。
*
(小説を書きたい)
と思って――
今の暮らしを始めたはずだった。
大きな組織に属さず――
自分の裁量で、ある程度、自由にできる暮らしを、始めたはずだった。
が――
いつの間にか、そういう暮らしではなくなっていた。
他人の事情に合わせすぎたか。
小説を書くという作業は、孤独の極みである。
これを追求するなら、人並みの幸せは望むべくもない。
覚悟を決めたはずだった。
が――
*
そろそろ、少し生活が楽になる。
もう一度――
まずは心の在処を考えよう。
僕自身の心の在処を――である。
迷走しているなら、しているなりに――
いったい、どこを迷走しているのか――