プロ野球の東京ヤクルト・スワローズが、セントラル・リーグの最下位に確定したそうである。
21年ぶりのことという。
*
――21年ぶり
というところに、目を見張った。
僕だけはあるまい。
80年代のプロ野球をみている人たちにとっては――
とりわけ、僕と同世代の70年代前半生まれにとっては――
「21年ぶり」というのは、少なからず驚きを喚起したのではあるまいか。
というのは――
僕が小学生であった頃というのは、
――ヤクルトといえば最下位
――最下位といえばヤクルト
であったからだ。
そして――
そのようなレッテルが十分に機能していたのは20年も前のことである、という事実に――
気づいているようで、気づいていなかったからだ。
僕は、この20年でヤクルトが強くなったことに、驚いているのではない。
昨今のヤクルトが相当に強かったということ――そして、どうしてヤクルトが、あんなに強くなっていたのかということ――は、プロ野球のファンなら、自明のことである。
僕が驚いたのは――
小学校時代に漠然と刷り込まれていたヤクルトへの印象が、いつのまにか、20年もの過去の彼方に消え去っていた、ということであった。
時の流れは早い。
あっという間である。
一方、「刷り込み」という名の思い込みも、容易には拭えない。
風呂場にこびり付いた汚れみたいなものである。
*
(なるほど――)
と思った。