生命の本質については、様々な識者が様々に論じているが――
僕は、生命とは、
――「ひとりでに秩序だっていく」という事象
だと思っている。
生命とは事象(event)だ。
物質ではない――物質が織り成す事象である。
例えば、今、手元に箱一杯のビー玉があるとしよう。
これを床にバラまく。
このとき、床にバラまかれた無数のビー玉は、方々に散っていく。
が――
もし、そのうちの2つが組み合わさって、さながら連星のように、共通の重心の周りをグルグルと回り始めたなら――
それは生命といっても、よいのではないか。
少なくとも、
――生命様の事象である
とはいってよい。
この定義に依れば――
例えば、銀河系や太陽系は生命だし、地球圏も生命といえる。
僕は生命の定義を狭く捉えるのが嫌いなのだ。
いわゆる地球上の生き物たちが有する諸性質に縛り付ける考え方が、好きではない。
地球上の生き物たちは、生命様の事象の特殊な形式だと思っている。
地球上の生き物たちだけを眺めていたのでは、生命の本質を見失うであろう。
床にバラまいたビー玉が、勝手に「連星」を形成し始めたら――
それは立派な生命だ。
もちろん、そのような事象が現実に起こるとは思えない。
少なくとも、起こったという報告はきいたことがない。
思考実験の一種だと思っていただければ、よい。