20年前の作詞なのに、全く時代を感じさせない唄がありますね。
例えば、竹内まりやさんの『駅』などがそうです。
20年前といえば、まだ携帯電話は見当たらず――
公衆電話が街角の至る所で健在でした。
だから――
当時の恋愛の唄には、公衆電話を歌い込んだ作品もあったりします。
唄に限りませんね。
TVドラマなども同様でした。
そういう唄やTVドラマを今になって振り返ると――
いかにも古臭い感じがしてしまうものです。
(たしかに、昔はそうだったよね~)
と――
ところが、竹内さんの『駅』には、それがありません。
この作品は駅が舞台です。昔、恋人であった男性の姿を偶然にみかけた女性の気持ちが歌われています。
駅が舞台になっているので、例えば公衆電話のような古いアイテムが歌い込まれていても不思議はないのですが、そうしたアイテムは全く入っていないのですね。
多くのファンが、この唄を今でも支持しているそうですよ。
もし、公衆電話が歌い込まれていたら、そうはいかなかったでしょう。
竹内さんが『駅』をお書きになった20年前に――
今日の社会に普及しているテクノロジーの在り方を予測しておられたとは思えません。
そうしたことを予測して――
例えば、公衆電話などの時代を感じさせるアイテムが歌い込まれることのないように細心の注意を払っていたということは――
まず、ありえないでしょう。
にもかかわらず、『駅』が20年後も多くのファンに支持され続けているということは――
やはり作詞家としてのセンスに依るところが大きかったのだろうと思います。
少なくとも、単なる偶然では片付けられない要因があることでしょう。