マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

世界の中心の2人

 夕方の駅のプラットホームで――
 寄り添うようにベンチに座り込み――
 電車が来たのに立とうともせずに――
 言葉少なにうつむく男女の姿を、みかけました。

 2人とも学校の制服を着ていましたから――
 まだ相当に若いのです。

 中学生か高校生でしょう。

 2人の周囲で時が止まっていることは疑いようがなく――

 周囲の大人たちが、密かにみやりつつも――
 表向きは黙って見過ごしていることなど――
 たぶん、想像すらしていなかったでしょう。

 2人が、とくに美男美女というわけではなかったことも――
 強烈な印象として残っています。

 どこにでもいるような2人でした。
 男の子は背が低く、女の子は身が太め――

 TVドラマなどでは、こうはいかない――
 男の子は美男で背が高く、女の子は美女で身が細め――
 そうでなければ、スポンサーがつきっこないに決まっています(笑

 虚構の世界を支える現実の事情というのは、実際のところは、かなりシビアなのです。

 ま――
 関係はないですよね、そんな事情は――

 現実の世界の2人にとっては、2人が世界の中心にいることは、ゼッタイの真実なのです。
 たとえ、周囲の大人たちにとっては、2人が虚構の世界の刹那に生きているようにみえたとしても――