マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

女を落とす

 しばしば、

 ――女を落とす。

 といいますよね。
 この言葉の意味が、僕にはよくわからないのですよ。

「女」を「落とす」とは、どういう意味でしょうか。

「石」を「落とす」なら、わかりますよ。

 例えば、崖の上などに立って石を手放すことですよね。
 そうすれば、石は崖の下に向かって落ちていきます。

 が――
 このことと「女を落とす」とが関係ないことは、すぐにわかります。

「石を落とす」ように「女」を「落とす」と、たぶん殺人の罪に問われます(笑

 おそらく、言葉の意味としては――
「城」を「落とす」に近いのでしょう。

 この場合は、例えば軍勢などを率い、城を占拠することですね。
 そうすれば、城は自分の思い通りになります。

 が――
 このことと「女を落とす」とを同一視することも、やはり具合が悪いのです。

「城を落とす」ように「女」を「落とす」と、たぶん略取の罪に問われます(笑

 だから、わけがわからなくなるのです。

 時々、

 ――どんな女でも落としてみせるぜ!

 と息巻く男がいますが――
 そういう男をみていると、妙な心配をしてしまいます。

 余計なお世話だと思いつつも、つい、
(殺人や略取の罪に問われなければいいが)
 と思うのです。

 もちろん、そんな懸念など先方は一顧だにしないでしょうから――
 結局は、

 ――モテない男のヒガみ

 として片付けられるのがオチなのですが――

 まあ、それで別にいいんですけれど――(苦笑

 とはいえ――
「たくさんの女を落とせる」ことが「モテる」ことであるならば――
 僕は、とくにモテたいとは思いませんね。

 だって、落とした後が大変じゃないですか。
 一人でも大変なのに、たくさん落として、どうするんですか。

     *

 というわけで――

 たぶん――
 僕は「女を落とす」の意味を正しく理解していないのです。

 だから、こんな、おかしな議論を始めるわけで――

 でも、

 ――女を堕とす。

 なら――
 わかるのですよ。

 これなら、殺人や略取の罪に問われることはありません。

 あ、略取の罪には問われるかもしれませんが――(笑
 そんなにカンタンには発覚しないでしょう――何しろ「堕」としてあるのだから――(苦笑

 もしかして――
「女を落とす」って、そういう意味なんですか。

 いや――
 違うよな。