マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

スポーツの矛盾を背負った言葉

 勝負事というのは――
 その勝敗が人間同士で争われる以上――
 必ず何らかのシコりを残します。

 スポーツも例外ではありません。

 個人競技であろうと、チーム競技であろうと――
 そこに勝ち負けの結果がつく以上、必ずや、シコりが残るものなのです。

 かといって――
 勝ち負けをつけないスポーツは面白くない――

 そこに、スポーツの矛盾があります。

 ときに、スポーツが戦争と同一視されることの遠因も――
 どうやら、このあたりに求めればよさそうです。

 つまり――
 スポーツというものは、自分の人生に面白みを与える結果として、他者との間にシコりを残すものなのです。

     *

 僕は、

 ――良き敗者

 という言葉が好きです。

 主にスポーツの世界で用いられる言葉のようですが――
 勝者の栄誉を心から祝福するような敗者を指していう言葉です。

 そんな祝福は、たぶん絶対に人間業ではないと、僕は思うのですが――
 スポーツの世界では、ただ「良き敗者」という言葉だけが、多くのアスリートたちによって、共有されています。

 まさに、スポーツの矛盾を背負った言葉といってよいでしょう。