勝負事というのは――
その勝敗が人間同士で争われる以上――
必ず何らかのシコりを残します。
スポーツも例外ではありません。
個人競技であろうと、チーム競技であろうと――
そこに勝ち負けの結果がつく以上、必ずや、シコりが残るものなのです。
かといって――
勝ち負けをつけないスポーツは面白くない――
そこに、スポーツの矛盾があります。
ときに、スポーツが戦争と同一視されることの遠因も――
どうやら、このあたりに求めればよさそうです。
つまり――
スポーツというものは、自分の人生に面白みを与える結果として、他者との間にシコりを残すものなのです。
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僕は、
――良き敗者
という言葉が好きです。
主にスポーツの世界で用いられる言葉のようですが――
勝者の栄誉を心から祝福するような敗者を指していう言葉です。
そんな祝福は、たぶん絶対に人間業ではないと、僕は思うのですが――
スポーツの世界では、ただ「良き敗者」という言葉だけが、多くのアスリートたちによって、共有されています。
まさに、スポーツの矛盾を背負った言葉といってよいでしょう。