人間たちが闘う姿を、
(醜い)
と思うようになりました。
例えば、映画で歴史物の戦国絵巻を派手に描く作品などは敬遠します。
同様の理由で――
例えば、TVドラマでドロドロの人間模様を描く作品なども敬遠します。
「闘う」も「争う」も、根本的には同質だと思っておりますから――
歴史物の戦国絵巻もドロドロの人間模様も――
どちらも、「醜い」と思ってしまうのですね――映画やTVドラマの作り手の意思とは無関係に――
ですから――
最近の僕が関心を持つ映画やTVドラマといえば、人間たちの闘いや争いの醜さを正面から捉えようとしている作品ばかりです。
壮麗な合戦シーンなどの虚飾が存在しない――
共闘のための友愛などの欺瞞が存在しない――
そういう作品です。
合戦は、しょせん悲惨な殺し合いであり、共闘はエゴの馴れ合いだと思うのです。
現実の世界の実態を理解し、実感している者にとっては――
どんなに巧みに美化されても、とうてい美化しきれるものではありません。
でも――
それを美化する試みは絶えません。
不思議なほどに、絶えません。
闘いや争いが人間の本能であるならば――
その闘いや争いを美化しようとする傾向も、人間の本能なのかもしれません。