マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

海の上というのは

 今月16日の未明に、マグロはえ縄漁船が岩手県沖で遭難したというニュースをきいて――
 海の上で働くということが、いかに過酷なことかを、実感しました。

 16日の午前3時頃に漁船から出火――
 僚船に異常を伝えることができずに、乗員4人が救命いかだで避難するも――
 翌日は海が大荒れで、いかだは3回も転覆し、3回目で2人が波間にのまれ、1人がいかだに助け上げられた後に、力尽きたそうです。

 いかだの上で亡くなったのは、漁船の船長さんで――
 転覆するまで、他の乗員の皆さんを励まし続けていたそうです。

 死因は窒息――
 おそらく、いかだから放り出され、海水を大量に飲んでしまったためでしょう。

 以上の報道は、唯一、生還した乗員の証言によるものです。

 もし、誰も生きて帰ってこなければ――
 こうした自然との激闘の実態も、文字通り、海の藻くずと消えていたわけです。

 ふだん海と無縁の生活を送っている僕には、なかなか実感しづらいことですが――
 海の上というのは、実に危険きわまりないところなのですね。

 だからでしょうか――
 海の上で働く人たちの間には、絶対的な連帯感というのがあるらしく――
 それは、海軍の将兵たちの間でも同様らしいのです。

 海軍の仕事といえば、簡単にいってしまえば、海の上で殺し合うことですよね。

 そんな職業軍人たちでさえ、海の上では、敵味方を超え、互いに絶対的な連帯感を抱くそうなのです。
 海の上で働くことが、それだけ過酷であるということでしょう。

 海の上では、ちょっとした事故でも死につながっしまうということは――
 人間の殺し合いなどを超越した真理なのだろうと思います。