公務員の人に向かって、
――あなた、公僕でしょ? 私のいうことをききなさいよ!
と横柄に要求する人がいます。
この態度や発想は妥当なものなのでしょうか。
もちろん――
横柄に要求されて気分の良い人などはいませんから、「横柄に要求する」というところは、どう考えても妥当ではありません。
では、丁寧に要求すればよいのか――
――あなたは公僕でいらっしゃるので、私の申し上げることを受け入れる義務があるのではありませんか?
これでは、かえって慇懃無礼かもしれませんが――(笑
僕が、ここで問題にしたいことは――
理屈の上で、どうなっているのか、ということです。
公僕は常に目の前の人に尽くす義務があるのか、ということです。
結論からいえば、その義務はありません。
そのような義務はないと考えるのが、理にかなっています。
なぜならば――
公僕は「私僕」ではないからです。
公僕は、常に目の前の人だけに尽くすのではありません。
目の前の人とそれ以外の全ての人たちとに尽くす義務があります。
よって、目の前の人の利益が、それ以外の全ての人たちの利益に反するときには――
目の前の人の利益に制限を加える義務が出てきます。
「あなた、公僕でしょう? 私のいうことをききなさいよ!」というのは――
礼節の面でも理屈の面でも、何ら正当性がないと断じざるをえません。
かなり常識的な結論ですね。