マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

10年ごしの楽しみ

 10年ほど前のことでしょうか。

 きのう総理大臣に指名された鳩山由紀夫さんが――
 まだ結党して間もない頃の民主党の代表を務めておられた頃に――
 側近の同僚議員が、

 ――この人は、総理だったら全く問題がないのに――

 とコボしていたそうです。

 つまり、

 ――政権を奪取せんとする野党の党首としては、ちょっと心もとない。

 ということでした。

 民主党では、当時も菅直人さんが国会の場で与党を厳しく追及していました。

 その菅さんの舌鋒の鋭さを思うときに――
 たしかに、鳩山さんは野党の党首としては不適格であるように思いました。

 が――
 見方を変えれば、野党の党首は、鳩山さんにとっては、役不足であったのかもしれません。

 鳩山さんは聞き上手なのだそうです。
 誰からの意見も、とりあえずは耳を傾ける――途中で遮ったりはしない――心ゆくまで喋らせる――
 そういう人なのだそうです。

 だから、鳩山さんのことを悪くいう人は少ない――
 意見を具申し、それが鎧袖一触に退けられたとしても、

 ――まあ、でも、ちゃんと話はきいてもらったし――

 というふうに――
 相手を納得させるだけの雰囲気があるのでしょう。

 それとは別に――

      *

 鳩山さんには、いわゆる空気をよまないところがあるそうです。
 ときに、かなりセンスの悪い冗談をおっしゃるのだそうですよ。

 どんな風にセンスが悪いかというと――
 何年か前の民主党の代表選挙のときに、記者からご自身の立候補の可能性を問われ、

 ――僕は立候補しないよ。だって、立候補したら勝っちゃうもん。

 と、おっしゃったとか――

 ――それ、ゼンゼン面白くないですから――

 の次元を通り越し、

 ――それ、他の人たちに喧嘩を売ってますから――

 の次元ですよね(笑

 そんな噂がTVで流れているにも関わらず――
 民主党の人たちは鳩山さんを代表に選んで衆院総選挙に挑み、その結果、300議席以上を獲得した――
 なんとも不思議なお人柄です。

 もっとも、民主党の人たちの気持ちも、わからないことはないのですよね。

 鳩山さんのアダナは、

 ――宇宙人

 です。
 自他ともに認めるアダナだとか――

 たしかに、「だって、立候補したら勝っちゃうもん」といっているのが「宇宙人」なら、
(まあ、いいか)
 と思えるのですよ。

「地球人」がいっていたら、
(バカじゃねえの?)
 なのですが――(笑

 何はともあれ――

     *

 10年前に「この人が総理なら――」と思われていた人が、実際に総理大臣になりました。

 どんな総理振りを発揮されるのか――
 ちょっと楽しみです。

 10年ごしの楽しみですからね。