震災後、これ以上ないくらいに政治の真価が問われていますね。
政治とは、利害の調整です。
平時では、たいていは、
――利の分配
が主たる眼目となりますが――
有事の際には、
――害の分散
が主たる眼目です。
もちろん、今の場合、「害」とは、震災によってもたらされた不都合の全てです。
福島第一原発のトラブルは、その最たるものでしょう。
このように、政治が真価を問われている時節であるにもかかわらず――
その要の地位にある人の評判が急降下しています。
菅総理のことです。
きょうも、朝日新聞の朝刊(仙台版)にジャーナリストの田原総一朗さんが原稿を寄せ、菅総理の政治手法を厳しく糾弾しておられます。
――いまは、どの政治家にも、どの省庁の官僚にも、思い切って仕事を任せ、存分に働いてもらい、責任はすべてとるべきである。にもかかわらず、聞く耳を持たず、報告をされたら、怒鳴なるばかり。総理がそれでは、政府は組織の体をなさない。
よって、
――ひんしゅくを覚悟で、あえて政変を起こし、菅総理を辞めさせ、民主・自民・公明の連立体制を作るべきだ。
とおっしゃっています。
田原さんは菅総理に近い人だと思っておりました。
実際、田原さん自身も認めておられます。
――菅さんが総理になって良かったと思った。少なくとも鳩山さんよりは良かった、と――
が、
――今は失望した。
と――
――今や、政府の災害対策組織の幹部からは、菅総理の愚痴ばかりがきこえてくる。
とも、おっしゃります。
もちろん、真相はわかりません。
が――
菅総理の総理らしからぬ振る舞いは、それとなく報道各社が伝えているところです。
それらをみての僕の印象は、田原さんの原稿の内容と、ほぼ同じです。
こんなときに政権首班の政治家を信用できないというのは、国民にとって大変に不幸なことですが――
その不幸を嘆く前に、まずは有権者としての不明を恥じるべきなのでしょうね。