難しい仕事と易しい仕事と――
長い間、続けていくのは、どちらが難しいでしょうか。
僕は、易しい仕事を続けるほうが難しいと考えています。
難しい仕事というのは、難しいのですから、最初は全くできないのですよね。
それを、どうにかしてできるようになろうと夢中で頑張る――先達に必死で教えを請う――
その過程で、少しずつ上達の喜びの感覚をつかんでいくことができます。
だから――
難しい仕事を続けるのは、実は、そんなに難しくはない――
もちろん、先達の指導があってこそですが――
ところが――
易しい仕事は、そうはいきません。
易しい仕事は、易しいので、すぐにできるようになります。
正確には、すぐにできるようになったと思い込みやすい――
実際には、そんなことはありません。
どんなに易しい仕事であっても、奥行きというものがあります。
その仕事を高い水準でこなせるようになるには、相当な年月が必要とされます。
が、すぐにできるようになったと思い込んでいるので――
なかなか頑張って続けていこうと気にはなりません。
むしろ、
――もっと難しい仕事を覚えたい。
などと思うようになって、不意に他所へいってしまう――
だから――
易しい仕事のほうが、難しい仕事よりも、続けていくのは難しいのです。