――組織の指揮系統は絶対である。
という考え方は根強いようですね。
これを会社などにあてはめていえば、
――上司の判断を疑うな。
という人が少なくないということです。
たしかに、この考え方は、ある場合には完全に正しいでしょう。
どのような場合かといいますと――
組織として緊急に判断を下し、かつ行動に移す必要があるときです。
典型は警察や軍隊ですね。
救急医療の現場でも同じことがいわれます。
が――
逆にいえば――
緊急な判断や行動が不要なときは、組織の指揮系統を絶対視する利点はないといってよいでしょう。
緊急な判断や行動が不要なときというのは、最上の判断や行動が求められているのです。
そのようなときに、指揮系統を絶対視するということは、指揮系統の上流に――しばしば、最上流に――負担を押し付けることになります。
その結果、最上の判断や行動からは程遠いものの生まれる危険性が出てきます。
緊急時は、最上である必要はないのです。
極端な話、最低でもいい――
とにかく、何らかの判断や行動を可及的速やかに生まなければなりません。
緊急時では、いかなる判断も行動も生まれないということが、最も避けるべき事態です。