文章を書くということは、簡単にいってしまえば、
――読み手の頭を揺さぶる。
ということです。
「頭を揺さぶる」とは、
――色々なことを想像させる。あれこれと考えさせる。
ということです。
その揺さぶりの道具は、文字という記号の羅列です。
その羅列が、読み手の視覚に捉えられ、脳に伝わり、想像力や思考力を刺激します。
自分の指定した文字の羅列が、たしかに読み手の想像力や思考力を刺激するかどうかは――
自分で試してみなければなりません。
他人の想像力や思考力を借用してくるわけにはいかないので――
したがって――
優れた文章の書き手というのは、たいていの場合は、敏感な読み手でもあるわけです。
文章を読むことで、すぐに想像力や思考力が刺激されてしまうような性質の持ち主ということです。
自分の書いた文章をみて、すぐに頭を揺さぶられてしまう――
もちろん、そのままでは、自己陶酔の極みのような文章しか書けないわけですが――(笑
そうはいっても、やはり――
そのような自己陶酔の性質が――自己陶酔をしようと思ったら簡単にできてしまうような性質が――書き手には求められてくるのです。
それは必要条件です。
自己陶酔を恐れてはいけないのです。
自己陶酔の性質が獲得できなければ、読み手の頭を揺さぶるような文章は、いつまでたっても書けるようにはならないでしょう。
もちろん、そうした性質を獲得したからといって、書けるようになるとは限りませんが――