マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

実は NG であったりする

 ある世界で素晴らしい業績を積み上げ、誰からも敬意を払われているような人に向かって、

 ――なぜ、この道に入られたのですか?

 という質問をすると――
 たいていは、

 ――こういうところが「面白いな~」と思ったから――

 という返事で済まされてしまうものです。

 本当は、そうではないはずなのです。
 他にも進む道はあった――けれど、「この道」を選んでいる――

 つまり、「なぜ、この道に入られたのですか?」という質問では――
 それに続く第2、第3の質問が重要なのです。

 ――どうして他の道では「面白いな~」と思えなかったのでしょう?

 とか、

 ――実は他にも「面白いな~」と思えた道があったりしませんでしたか?

 とか――

 そういう質問をすることで―― 
 だいたい次の2通りの返事がありえます。

 一つは、

 ――実は、他の道にも入ってみたのだけれど、この道の面白さが忘れられなかった。

 であり――
 もう一つは、

 ――他の道のことは、実は、よく知らない。

 です。

 この2通りの返事が示すことは、結局のところ、

 ――「この道」を選んだことに特記すべき理由はない。

 ということなのですね。
 強いていえば、

 ――「この道」を選ぶ運命を与えられて生まれてきたらしい。

 ということ――

 なので――
「なぜ、この道に入られたのですか?」という質問は――
 実は NG であったりします。