若い人たちに、仕事の選び方について、
――好きなことを仕事にせよ。
という人と、
――向いていることを仕事にせよ。
という人とがあります。
どちらが正しいのか――
そう簡単には結論づけられません。
僕が正しいと思うのは「向いていることを仕事にせよ」のほうです。
が――
「好きなことを仕事にせよ」も、正しくないわけではない――
というのは――
自分の好きなことを仕事にできる人は、それを実践したほうがよいからです。
――好きこそものの上手なれ。
といいますからね。
自分の向いていることを仕事にできる人は数多ですが――
自分の好きなことを仕事にできる人は希少です。
したがって――
不特定多数の若い人たちにむかって「向いていることを仕事にせよ」というのは、統計的には、まったく正しい――
ほとんどの人が、その助言で問題はないのですが――
好きなことを仕事にできる人に向かっても「向いていることを仕事にせよ」というのは、ちょっと不見識です。
その助言は、希少な人的社会資源をムダにするに等しい――
好きなことを仕事にできる人――そういう才能を備えている人――に向かっては「好きなことを仕事にせよ」というほうがよいに決まっています。