マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

組織の潜在能力

 素材の味を活かすというのは、とても大切なことですね。

 お料理の話をしたいのではありません。

 いえ――
 お料理でも、素材の味を活かすことは大切と思いますが――
 僕がしたいのは、人の組織の話です。

 ある組織があって、それが何か一つの使命を果たすために機能することを考えましょう。
 そのときに、その組織の使命の果たし方は、組織の構成員の力量や経験、人柄に依存するとみなせます。

 よって、その組織を束ねる者は、構成員の力量や経験、人柄――つまり、個性――の把握に努めなければなりません。

 組織のトップに立つ者は、しばしば最初の数ヶ月ないし数年は自由に差配することができない、といわれますが――
 それは、構成員の個性を把握しなければならないからです。

 この準備期間をどのようにとらえるか――
 耐え忍ぶ期間ととらえるか、仕込みの期間ととらえるか――
 それによって、組織を束ねる者の振る舞い方は変わってきます。

 当然、「仕込みの期間」ととらえるほうが組織は安定するわけですが――

 その際に――
 組織を束ねる者と同じように「仕込み期間」ととらえる者が構成員の中にどれくらい含まれているかが、その組織の浮沈を決定づけるでしょう。

 もしも、組織にも、

 ――潜在能力

 という概念をあてはめられるならば――
 それは、そのような構成員が何人いるかだと僕は考えています。

 ――ああ~、オレたち、いま仕込まれてるんだな~。

 ――よ~し、ちゃんと仕込まれてあげよう!

 そのように思える構成員の数が多ければ、仕込みの期間は数日ないし数ヶ月で済むでしょう

 逆に――
 少なければ、数年はかかってしまうでしょう。

 素材の味を活かすにはどうすればいいかについて数年間も模索をしつづけるのは――
 組織にとっては不幸なことです。