学問という営みは――
事実に基づき、論理を展開し、何らかの新奇の知見を生み出すことです。
「事実」とは、万人に共有されうる既存の知見といってよいでしょう。
「論理」とは、ヒトの脳の普遍的な機能の一部といってよいでしょう。
つまり、学問とは、
――自分の脳を自然に働かせることで、古い知見から新しい知見を導くこと
ということになります。
「脳を自然に働かせる」ということは、
――奇を衒(てら)うことなく考える。
ということです。
この「奇を衒うことなく考える」というのは――
意外に難しいことです。
要するに、
――独断や偏見から自由になる。
ということですから――
独断や偏見は「古い知見」と強固に結びついています。
人は、しばしば「独断」や「偏見」を「古い知見」の一部であるとみなしてしまっています――つまり、「新しい知見」を導く上で基づくべき知見である、と――
学問の難しさは、「古い知見」を「独断」や「偏見」から選り分ける作業の難しさに集約されるといっていいでしょう。