通り慣れた夜道を運転していて「は!」と気付いたときには目の前に人影があって、慌ててブレーキを踏んだが、間に合わなった――
という事故は――
そんなに珍しくはないのだそうです。
どんな人でも、通り慣れている道では油断をしやすいし――
そもそも、夜間は視界が悪くなっている――
歩行者だって夜間は油断をしやすい――とくに酔っていると平気で赤信号を渡ってくる――
したがって――
例えば、自動車のレーサーなどにいわせると――
レースの最中よりも、街中を運転するときのほうが、よっぽど恐いのだそうです。
――どんなルール破りがされるか知れたものではないから――
という理由です。
街中では予想外の事態にも備えなければならない――
「予想外の事態にも備える」とは――
常識的にはありえない事態に遭遇しても、その事態の正体をすぐに見抜けるように、普段から心に余裕をもたせておく――
ということです。
目の前に、突然に人影が現われても、それが「人影だ!」とわかるように――
とはいえ――
突然に現われたら避けようがないでしょう。
いくら予想外の事態に備えていても、たぶん結果は同じです。
が、
――それでも仕方がない。
といいます。
かりに人をはねてしまうにしても「いま、はねる!」と自覚をして人をはねるのか――
あるいは、「へ? なに?」と当惑をしたまま人をはねるのかで――
そのあとの言動が大きく変わってくる――
というのです。
「予想外の事態にも備える」というのは、つまりは、
――つねに覚悟を秘めて生きる。
ということですね。