いついかなる時代の老人も、
――昔はよかった。
とボヤく傾向にあるといわれます。
このことは――
世の中は、いついかなる時代の若者にとっても、心地よくて輝かしい、ということの裏返しでしょう。
人は――
若いときには、世の中の良い部分を探そうとし――
老いるにつれて、しだいに世の中の悪い部分を探そうとするのです。
おそらく――
世の中は、今も昔も変わっていません。
変わっていくのは人です。
若者が老人に変わっていくだけです。
*
興味深い話をききました。
20代のイギリス人男性の話です。
自分は1990年代が最も良かったといい――
父母は1960年代が最も良かったといい――
祖父母は1920年代が最も良かったという――
いったい、いつの時代が本当に最も良かったのか、と――
おそらく――
どの時代も“本当に”最も良かったのでしょう。