物事をわかりやすく伝えるということは――
伝える内容を綺麗に整理して伝える、ということなのですよね。
もし、その内容が100%の虚構であれば――
わかりやすく伝えるために、いくらでも綺麗に整理してよいのです。
が――
もし、100%の真実であれば――
そうはいきません。
少なくとも、「いくらでも綺麗に整理する」というわけにはいかないのです。
真実が真実でなくなってしまうから――
では、どこまで整理したらいいのか――
その線引きが難しいのですね。
ドキュメンタリーが難しいのは、その点です。
整理の仕方に難渋しているうちに、
――ええい、面倒だ。いっそのこと、全てフィクションにしてやれ。
と思うこともあるでしょう。
それに伴うのは、一種の爽快感です。
たぶん、ちょっと後ろめたい爽快感です。