人の心の闇の部分というのは、その内実や実態が、ある程度わかってしまえば――
そんなに忌避したり、嫌悪したりしなくても済むものであるように感じます。
むしろ、愛おしく感じられる――
まあ――
「愛おしい」というのは、少々、誇張ですね。
場合によっては、不謹慎かもしれません。
なぜならば――
人は、人の心の闇の部分に突き動かされて、例えば、凶悪な犯罪に走ったりするのですから――
とはいえ――
人の心の闇の部分というのは、結局は、人の心の原型部分なのです。
人らしくなる前の人の心を受け継いだ部分――
よって、人の心の闇の部分を無視したり、否定したりするということは――
人らしくなる前の人の存在――つまりは、人に進化する前の生物種の存在――を無視したり、否定したりすることに通じます。
それは――
ちょっとムシがよすぎる態度ではないでしょうか。
あるいは――
余裕に欠ける対応とでもいいましょうか。