今回、被災して、痛切に感じたことは、
――知識や理解は体験に根差していなければ実感を伴わない。
ということでした。
例えば、
――沿岸部で強い地震を感じたら、津波を想定して避難行動をとらなければ危険である。
という知識を、僕はもっていましたし――
この知識の重要性を十分に理解しているつもりでしたが――
実際の被災時には、こうした知識や理解が実際の行動に結びつくことはありませんでした。
僕が津波で命を落とさずに済んだのは――
こうした知識や理解のおかげではなく、単に運が良かったからにすぎません。
もし、押し寄せて来た津波が、あともう2~3メートルほど高ければ――
僕は命を落としていたでしょう。
あの日の僕は、「沿岸部で強い地震を感じたら、津波を想定して避難行動をとらなければ危険である」という知識や理解をもっていながらも――
そうした避難行動を取りませんでした。
が――
次の日からは、全く別です。
沿岸部にいて強い地震を感じたら、すぐに避難行動を取るか、どのような避難行動をとるべきかを、真剣に考えるようになったのです。
つまり――
あの日、津波に関する知識や理解が、僕の心の中で体験に根差したのですね。
知識や理解に伴う実感の度合いが、全く違っています。