――メルトダウン
という言葉が注目を浴びています。
福島第一原発の文脈です。
どうやら、原子炉の炉心溶融のことをいっているようです。
原子炉の中の核燃料体は、放っておかれると、過熱し、融解するそうです。
これを「燃料溶融」といいます
それを防ぐために、原子炉は、運転を止めているときでも、つねに核燃料体を冷やし続けなければならないのですが――
今回の震災のようなことが起こり、原子炉の冷却機能が失われると、核燃料体は溶融を起こし、やがて溶け落ちてしまうのだそうです。
狭義では、このような現象を「炉心溶融」というのだそうですが――
「メルトダウン」という言葉は、必ずしも「炉心溶融」と同義ではないのだといいます。
炉心溶融を起こし、原子炉が破壊され、大量の放射性物質が飛散する状態や――
何らかの理由で原子炉が損傷し、燃料溶融や炉心溶融が起こり、その結果、大量の放射性物質が飛散する状態も、「メルトダウン」というのだそうです。
このように狭義の意と広義の意とがあって紛らわしいので、「メルトダウン」は正式な術語ではなく――
よって、専門家は、あまり用いない言葉なのだそうですが――
報道機関は好んで用います。
おそらく、とても印象的な言葉だからです。
「メルト(melt)=とける」は原子炉には不釣り合いな言葉です。
そこが人々の意表を尽きます。
それが一点――
もう一点は――
「ダウン(down)=1)下がる、2)(機器システムの機能などが)損なわれる」が――
核燃料体の融解して溶け落ちる様子や原子炉の制御不能に陥る事態を的確に言い表しているように感じられることです。
たしかに巧い表現です。