中国の高速鉄道の事故には唖然とさせられました。
落雷で止まっていた列車に、後続の列車が高速で突っ込むという――
虚構の世界でもなかなか起こりそうにない事故です。
こういう事故をみていると、まだまだ中国は発展途上にあるといってよさそうですね――産業技術的にも社会制度的にも――
が――
一つ気になる点があります。
日本の各種報道機関の反応です。
――このような事故は日本では起こりえない。
という論調がほとんどなのですね。
たしかに、日本の新幹線のシステムは、中国の高速鉄道のシステムよりも格段に機能が上でしょう。
幾重にも安全装置が仕組まれているーー
が――
「起こりえない」という表現は、いただけません。
また性懲りもなくいっている――
科学技術に関わることで「起こりえない」といえるようなことは一つもないはずです。
実際に、起こりえないことが起こったではありませんか――
つい先頃も、福島の原子力発電所で――
こう指摘すると、即座に反論されるかもしれません。
――いや、そんなことはない。専門家が「起こりえない」といっているのであって、メディアは、そのコメントを正確に伝えているだけだ。
と――
しかし――
科学技術の実情や実態を弁えている専門家であれば、「起こりえない」とは絶対にいわないはずなのです。
――きわめて起こりにくいと考えられる。
ということはあっても――
「きわめて起こりにくい」と「起こりえない」とは違うのです。
「きわめて起こりにくいと考えられる」と「起こりえない」となら、もっと違います。
この違いを無視してはいけないのです。