――時代が変わっても、社会が変わっても、あなた自身は変わらない。
といった見解をときどき目にします。
これは、正しくは「見解」ではなく「激励の言葉」でしょう。
誰しも「自分は変わらない」と信じていたいものです。
たしかに、そのように無条件に信じてしまう装置が、僕らの脳の中に内蔵されているようです。
が――
実際には、変わっていくのですよね。
認めたくはないけれど――
自分の来し方を意識して自省してみれば――
どんどん変わってきている自分に気づきます。
今の自分と5年前の自分とは違う――
5年前の自分と10年前の自分とは違う――
当然ながら――
今の自分と10年前の自分とは、もっと違う――
少なくとも、僕はそうです。
ですから――
「あなた自身は変わらない」と激励をされても――
何ら慰めにはなりません。
(いや、変わるから……。実際、変わっているし……)
と反駁するしかない――
でも、世の中には多いのですよ。
「あなた自身は変わらない」といった激励の言葉が――
どうも商業的な宣伝文句に多いようです。
きっと、
――ずっとお買い求め続けて下さり、ありがとうございます。これからも、ずっとお買い求め続けて下さりますよう、お願い申し上げます。
ということなのでしょうね。