世の中の不条理に対し、
――なんて不条理なんだ!
と、ただ文句をいっていても仕方がないのですね。
かといって――
文句もいわずに、
――これが世の中の厳しさだ。
と、優等生的に諦めてみせても仕方がないのです。
世の中に不条理を見出したら――
例えば、自分の所属する会社に大規模な不正経理があるらしいとわかったら――
そうした不条理を改めようと試みるか――
改めるのが無理なら、せめて、
――この不条理を逆に活用してやれ!
というくらいの感性を研ぎ澄ませるのがよいでしょう。
ただし――
その際に、絶対にやってはならないことは、嘘をつくことです。
嘘をつく――
他人に対しても自分に対しても――
一つ嘘をつくと、その嘘を支えるために、もう一つ嘘をつく――
さらに、その嘘を支えるために、もう一つ嘘をつく――
そうやって嘘ばかりついていくことになり――
やがては、自分自身の存在それ自体が不条理になってしまう――
そんなことでは、世の中の不条理を改めることは愚か、その不条理を逆に活用するなどということも――
おぼつかないに違いありません。