――体をつくる。
といいますね。
スポーツ選手などが、シーズン・オフで長期休養をとった後、少しずつ体を動かしていって、新たなシーズンを迎える準備を調えるときなどに、よく使われる言葉です。
きょうも、車を運転しながらラジオをきいていたら、この言葉が流れてきました。
元プロ・スポーツ選手のコメントです。
(面白い言い方だな~)
と改めて感じ入りましたね。
運転しながら聞いていると、聞きなれた言葉でも、妙に脳裏に沈潜することがあるのです。
「体をつくる」というのは、普通に考えたら、ちょっと乱暴な表現です。
人造人間のボディを製作するという意味ではないのですから――
が――
この表現が、そんなに奇抜には感じられないのは――これが慣用表現であるということ以外に――省略表現であることが、すぐにみてとれるからです。
おそらくは、
――体が過酷な運動に耐えうる状態をつくる。
という意味で、「体をつくる」といっているわけです。
つくりあげるのは、体それ自体ではなく、体が保ちうる特定の状態なのですね。
が、そうはいっても――
僕らが「体をつくる」というときには、ふつうに「体」のことを想定している――
別に「体が保ちうる特定の状態」などを想定していたりはしない――
これも言葉のもつ面白さの一つですね。