いわゆるエゴイズム(egoism)には2種類あって――
一つが自分の利益を追求するものであり、もう一つが自分の損益を回避するものです。
利益追求のエゴイズムは、いかにもエゴイズムな感じですが――
損益回避のエゴイズムは、ちょっと様相が異なります。
自分を守っている印象が強いのです。
もちろん、自分のことだけを守りすぎていれば、いわゆるエゴイズムの範疇に入りますが――
そうでない場合には――つまり、ほどほどに自分を守っている場合には――そんなに強くは非難されません。
誰だって自分を守ることには一生懸命なのですから――
「エゴイズム」という言葉を使うときには、ちょっと注意が必要でしょう。
しばしば「利己主義」との日本語があてられますが――
ちょっと正確ではないと感じます。
「エゴ(ego)」とは「自我」という意味です。
よって、
――自我主義
というのが、正確な表記だろうと思います。
「自我主義」には、自分の利益を追求するエゴイズムと、自分の損益を回避するエゴイズムとが含まれます。
自分を守ることもエゴイズムの側面の一つです。
つまり、エゴイズムには「絶対悪」とは言い切れないところがあります。