マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「sense of humor」よりも「おかしみ」を

 ――日本人には“sense of humor”がない。

 とは、しばしば海外で耳にする悪口ですが――

 たしかに――
 欧米文化圏の「sense of humor」の感覚は、多くの日本人にはないでしょう。

 当然のことです。

 日本人には、「sense of humor」がなくても、「おかしみ」の感覚はあるのです。

 例えば――
 落語で伝えられる人の言動の面白みは、欧米文化圏の「sense of humor」に該当しうる観念です。

 が――
「おかしみ」と「sense of humor」とは異質です。

 似て非なるものです。

「おかしみ」に慣れ親しんだ日本人に、いまさら「sense of humor」を求めても、仕方がありません。

 日本人は、むしろ「おかしみ」の感覚を研ぎ澄ませるほうが、ずっとよいのです。

「sense of humor」を無理にわかろうとする必要はありません。

 が――
「おかしみ」なら、多少の無理はしても、わかろうとしたほうがよいでしょうね。

 わかった上で、それを外国語で伝えていく――

「sense of humor」の感覚を体得するよりも、「おかしみ」を説明する能力を獲得するほうが――
 海外では、より切実に求められるのです。