マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

静脈認証

 銀行でキャッシュ・カードを作ったら――
 静脈認証が必要だといわれました。

 指の静脈には走行パターン(静脈の血管が指のどの部分を通っているか)があり――
 それは個々人によって全く違うのだそうです。

 よって――
 それらパターンを採取し、データ化して保存しておくことで――
 当該人物の指の静脈パターンと照会することで、本人かどうかを確実に認証しようというシステムです。

 指の静脈パターンが、どうやってデータ化されているのかは知りませんが――
 おそらくは、画像としてデータ化されているのでしょう――よくはわかりませんけれどもね(不勉強ながら――

 この静脈パターン――
 一卵性の双子でも違うそうです。

 ということは――
 遺伝パターンよりも多様性に富んでいるということですよね。
 一卵性の双子では、遺伝情報が同一であるはずですから――

 おそらくは、胎生期における指の形成の過程で、指の静脈がランダムに形成されていくからでしょう。

 遺伝情報が同一であれば、指や指の静脈を構成するパーツも同一であるはずです。

 が――
 それらパーツの組み立てられ方は、ランダムに決定されていく――
 よって、指の静脈パターンもランダムに決定されていく――
 つまり、指の静脈がランダムに形成されていく――
 そういうことではないかと想像します。

 ということは――
 もし仮に、同じ人が、同じ遺伝情報で、もう一度、生き直すとしても――
 指の静脈パターンは違ってくる可能性が大きいわけですね。

 つまり――
 今、僕は38歳ですが――
 仮に、今の38歳の体を捨てて、もう一度、両親の受精卵に戻って、生き直す場合に――
 指の静脈パターンは別人になっている――
 ということです。

 そう思うと――
 今の自分の体が、妙にかけがえのないものに思えてくるのですよね。

 もちろん――
 実際に、かけがえのないものなのですが……(笑

 でも――
 そのことを妙に強く意識できてしまう――妙に自然な納得感を伴って――

 不思議です。