見かけ倒しの題名というのには――
心底がっかりさせられます。
書籍でも講演でも――
たいていは内容を示唆する題名(タイトル)が明示されていますよ。
書籍の読者や講演の聴衆は――
その題名から内容を推し量るわけです。
題名が良すぎると――
あとが大変です。
読者や聴衆の失望を回避するのが大変――
まあ、たいていは失望させることになりますがね。
とはいえ――
題名が悪ければ、そもそも読者や聴衆がよりつきませんから――
やはり、題名は良くせざるをえない――
その加減が難しいのです。
……
……
題名とは――
通常、言葉ですから――
良い題名をつけるには、言葉の妙手でなければなりません。
基礎的な文法に習熟していることは、もちろんのこと――
語感に敏感で、修辞に精通している必要があります。
が――
内容に自信が持てないときは――
いくら言葉の妙手でも、題名に美技を駆使することは躊躇されるでしょう。
そういうときは――
最低限、文法的に正しく題名をつけて――
お茶を濁すでしょう。
あるいは――
さも語感や修辞に疎いかのような言葉で、ごまかしをする――
見かけ倒しの題名にならないように、細心の注意を払う――
そういう題名の付け方も――
場合によっては、誠意の現れの一つであろうと思います。