マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人が動けば知見も動く

 きのうの『道草日記』で、

 ――風が動けば埃も動く。

 みたいな話をしました。

「風」というのは、室内換気扇によって起こる空気の流れのことで――
「埃」というのは、室内の空気が含んでいるハウスダストのことです。

 この話を書いていて自然と思い出されたのが、

 ――人が動けば知見も動く。

 という話です。

 戦国期――
 各地の有力大名たちは、諸国を漫遊する有識者たち(学者、僧侶、茶人、商人ら)を大切にもてなしたといいます。

 彼らが動くということは――
 彼らの持っている知見――知識や理解、経験、技術、情報など――が動くということだからです。

 埃が降り積もるのはイヤだといって風を止めてしまうことは――
 たぶん――
 戦国大名たちが、自国の領内に新奇・珍奇の着想が入って定着し、領民たちの意識変革が起こることを恐れ、有識者たちの出入りを禁止する――
 ようなものですね。

 マメで聡明な戦国大名なら、そんな愚は決して犯さなかったでしょう。

 悪しき知見の流入を防ぐために、良き知見の流入まで妨げることは――
 自国の衰退に直結するからです。